日本各地にある”とんちゃん”料理の語源は?

名古屋の味噌とんちゃん
下関の「とんちゃん鍋」、名古屋の味噌とんちゃん焼、岐阜県御嵩町のとんちゃん焼などなど、豚のホルモンなので豚肉に愛情をこめて“とん(豚)ちゃん”と呼んでいるとか。
滋賀県高島市の鶏肉のとんちゃん焼、岐阜県下呂市の鶏ちゃん焼などは、豚とんちゃんと同じような味付けの鶏料理なのでそのように呼んでいるとのことです。
さて、私の母親は1955年頃には、国鉄岐阜駅の南口でタッペギチャンサ(どぶろく屋)をしていました。大きな声で言えませんが非課税の酒です(笑)。牛ホルモン焼(牛ミックスホルモン)のことを「とんちゃん」として売っていました。一人前30円です。「ぶたちゃん」と言う意味ではありません。タッペギもどんぶり一杯30円です。キムチのことは「チミチ」として売っていました。少し訛っていましたが、慶尚道の方言です。母親はプサン出身です。
岐阜駅南口周辺には、私が知っているだけでも5軒ほどの同業者がいました。みな1世同胞です。
時は変わって1968年ごろと記憶しています。朝鮮大学校の、他学年の入学式か卒業式だったと思います。学長を兼任していた総連中央のハン・ドクス(韓徳銖)議長が演説を中断して話し始めました。当然に朝鮮語で・・・
「今日、ここにお集まりの学父兄の中には焼肉屋をしている同胞も多いと思いますが、牛の内臓のことを、よりによってなぜ“똥창”(トンチャン)と呼んでいるのですか。いい言葉ではないですよ。ネジャンというなりコプチャンと呼ぶ方がいいですよ。そう思いませんか?」
聞いている同胞たちは思わず苦笑いしていました。そう言われてみたらそうだなと。(苦笑)
その後、全国的に「ホルモン」という便利な言葉に統一されました。
똥창:“큰 창자”를 속되게 이르는 말 ⇒トンチャン:“大きな内臓”を俗っぽく言う言葉
【国立国語院・標準国語大辞典より引用】
속되다:⇒고상하지 못하고 천하다 俗っぽい⇒ いかにも品がなく洗練されていない
창자(チャンジャ):タラ、スケトウダラの内臓を使ったピリ辛の和え物。
내장(ネジャン):内臓
대창(テッチャン):大腸
곱창(コプチャン):小腸
【日本語翻訳:申天雨】