相続手続き事例5.

ソウル特別市 龍山區庁
父親(2世、1971年日本へ帰化)の、相続登記用の韓国・除籍謄本取り寄せと翻訳。富山県の日本国籍3世男性から依頼。
初日
富山県の3世男性から電話にて依頼を受ける。
伺ったところ、父親が他界し遺産相続手続きに入ったのだが、1971年3月に日本へ帰化するまでの間の韓国戸籍を取り寄せて翻訳文を付けて欲しい。自身は父母が帰化後に生まれた、とのこと。
早速、依頼者宛に、取り寄せに必要な事項を記した説明書と委任状の用紙、同日本語翻訳文をお送りする。
23日目
依頼者より取り寄せに必要な書類と委任状が到着。
本籍は「京畿道 京城府 梨泰院町」としか分からないが、これは現在の「ソウル特別市 龍山區 梨泰院洞」と推測できる。
被相続人の登録基準地のソウル特別市 龍山區庁宛に、被相続人の子の委任状を添付して、被相続人の全ての除籍謄本と家族関係登録証明書(5種類)の取り寄せの手続きをする。
47日目
ソウル特別市 龍山區庁より被相続人の全ての除籍謄本と家族関係登録証明書が到着。直ちに依頼者にお送りする。
53日目
依頼者より範囲指定のあった翻訳文を作成してお送りする。依頼完了。
☆相続手続用の除籍謄本等は以下の通り送られて来た。
◇除籍謄本
①本籍:ソウル特別市 龍山區 梨泰院洞 〇〇番地
戸主:被相続人の祖父 孫:被相続人 横書き11頁
※戸籍制度廃止(2008.1.1)により抹消
◇家族関係登録証明書(被相続人が基準のもの)
1.基本証明書(詳細)
2.婚姻関係証明書(詳細)
3.家族関係証明書(詳細)
4.入養“養子縁組”関係証明書(詳細)
5.親養子入養“特別養子縁組”関係証明書(詳細)
※2016.11.30、法改正により「家族関係登録証明書」は、従来と違って5種類の証明書がそれぞれ「一般証明書」「詳細証明書」「特定証明書」に改正され、又これに伴って申請書様式も改正されました。
「一般証明書」には現在事項のみ記載、「詳細証明書」には現在・過去・訂正履歴を記載、「特定証明書」には申請人が選択した内容が記載されます。
所長雑感
被相続人の除籍謄本等を取り寄せるにあたり、日本の外国人登録原票の記録である“国籍の属する国に於ける住所又は居所”には「京畿道 京城府 梨泰院町」と記載されていました。これは、日韓併合時の地名表記であるものの、幸いにも現在の地名表記である「ソウル特別市 龍山區 梨泰院洞」であると推測できるので、それで申請しました。因みに、オールドカマーの在日コリアンで本籍がソウルの人はとても稀です。
1986年以降に日本国籍を取得した人の韓国籍喪失の除籍処理は、韓国政府が日本政府からの連絡を受けて一括処理しており、個別に「国籍喪失申告」をする必要はありません。
この事例の被相続人のように1986年以前に帰化した人に関しては、本人が韓国に「国籍喪失申告」していない限り除籍処理されていません。
相続登記に際して法務局から「国籍喪失申告」をするよう指示があれば、当然に従う必要があります。
「国籍喪失申告」を速く済ませて、その事実が記載された家族関係登録証明書を入手したい方は、ぜひ当事務所にご依頼ください。了。