韓国の誇り世界遺産 『訓民正音(解例本)』とは?

「ユネスコ世界記録遺産」국가유산포털 | 유네스코 등재유산 소개
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『訓民正音(解例本)』について
『訓民正音(解例本)』は、朝鮮王朝第4代王の世宗(セジョン)によって創製された新しい文字「訓民正音」の創製目的、音価、運用法、そしてそれらに関する解説と用例を記した書物です。1446年(世宗28年)に木版本として刊行され、現在は韓国・澗松美術館に所蔵されている国宝です。
この書物は、王が自ら執筆した「例義(れいぎ)」と、集賢殿の学者8名(鄭麟趾・申叔舟・成三問·崔恒·朴彭年·姜希顔·李塏·李善老)による「解例(かいれい)」の二部構成となっています。例義では文字創製の目的と運用法が簡潔に述べられ、解例では文字の構造や使用法が詳細に解説されています。
書物の構成と特徴
- 書名:『訓民正音』と呼ばれることが多いですが、文字そのものと区別するために『訓民正音(解例本)』(훈민정음・해례본)と呼ぶのが適切です。
- 刊行年:1446年陰暦9月
- 形態:木版本1冊、全33丁(例義4丁、解例29丁)
- 寸法:書籍サイズ 約29.3cm × 20.1cm、本文の枠 約22.6cm × 16.1cm
- 所蔵:澗松美術館(韓国)
例義部分の版心題は「正音」、解例部分は「正音解例」と刻まれており、それぞれ独立した構成であることがわかります。また、王が執筆した部分は大きな文字、臣下が執筆した部分は小さな文字で印刷されており、書道的にも価値の高い資料です。
内容の詳細
◎ 例義(れいぎ)
- 世宗による序文
- 新文字「訓民正音」の音価と運用法の簡潔な説明
◎ 解例(かいれい)
- 制字解(文字創製の原理)
- 初声解・中声解・終声解(各音素の解説)
- 合字解(音素の組み合わせによる文字形成)
- 用字例(実際の語例123語)
- 鄭麟趾による序文
解例では、文字の創製原理を「音声に基づき、その理を極めたもの」とし、基本字形は発音器官の形を象った象形文字であると説明しています。
中声(母音)の基本字
「ㆍ」「ㅡ」 「ㅣ」 は、それぞれ「天」「地」「人」を象徴しています。
鄭麟趾の序文では、漢字が朝鮮語に適していないこと、そして新文字の利便性と優秀性が述べられています。たとえば、誰でも短期間で習得できること、漢文の解釈が容易になること、訴訟の内容が明確になること、音韻の区別が明瞭になること、音楽の調和が図れることなどが挙げられています。
歴史的・文化的意義
朝鮮王朝が安定期に入った世宗の時代には、国家の文化的自立を目指す気運が高まりました。その中で創製された「訓民正音」は、創製者が明確であり、創製の原理・運用法・解説書まで残されている点で、世界的にも類を見ない文字体系です。
この『訓民正音(解例本)』は、1997年10月に「ユネスコ世界記録遺産」に登録されました。文字そのものの科学性とともに、書物としての構成や内容も極めて独創的かつ体系的であり、学術的・文化的に非常に高い価値を有しています。毎年10月9日は「ハングルの日」で祝日です。
了。